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羽生九段A級陥落

令和4年2月4日(金)第80期順位戦第8局で羽生善治九段のA級陥落が確定した。

順位戦

現在将棋には様々なタイトルがある。その中でも最も歴史が長く将棋の最高位ともされる「名人」というタイトルがある。
将棋の「名人」は1612年,徳川幕府初代将軍である徳川家康より大橋宗桂が将棋所を任され,「名人」と名乗ったとされている。その後十三世名人までは世襲制であり,1938年より実力による「名人」の襲位が行われるようになった。

名人は将棋の実力が最も高い者がなるようにと考案されたのが順位戦と呼ばれるリーグ戦でこれにはA級,B級1組,B級2組,C級1組,C級2組がある。その中でも最高のA級には10人の棋士が在籍し,1年間かけて総当たりのリーグ戦を行っていく。最優秀成績者は名人に対しての挑戦権を得るのに対して,成績下位2名は1つ下のB級1組の成績優秀者2名と入れ替えになる。

つまり,A級とは常に将棋の強い10名と名人が所属する将棋の最強リーグ戦なのである。

連続29期・通算29期

そんな将棋の最高リーグA級に第52期順位戦から在籍していた羽生九段だったが,第81期順位戦ではB級1組になることが確定した。

2勝5敗成績9位の羽生九段は3勝4敗成績8位の永瀬王座と対局。この対局で羽生九段が勝利すると羽生九段と永瀬王座の勝敗が同数になり,第79期順位戦の最終順位より羽生九段は8位に浮上しA級陥落を免れる非常に重要な一局であった。

対局は相掛かりで進んでいったが,22時20分過ぎに遂に羽生九段の投了。これで連続29期に及んだA級から初陥落となる。

記録という観点からこの29期を読み解いていこう。

連続記録でいうと大山康晴十五世名人の44期谷川浩二九段の連続32期升田幸三九段の31期に並ぶ第4位タイ記録になる。

大山康晴永世十五世名人はいうに及ばず,谷川浩二九段も永世十七世名人の襲位資格を持っている。升田幸三九段はタイトルが3つしか存在していない時代に三冠を達成しているほどの実力者だ。羽生九段とタイ記録で並んでいる中原誠十六世名人も説明不要,一時代を築いていった人物ばかりが並ぶ。

では,通算記録ではどうだろうか。

通算記録では,大山康晴十五世名人の44期加藤一二三九段の36期谷川浩二九段の32期升田幸三九段の31期と最高齢現役棋士の記録を持つ加藤一二三九段の記録が連続記録に追加される。

通算記録の更新ならば可能性は十分にあるのではないか。

現在名人位に座している渡辺明名人は,第76期順位戦でA級から陥落し,「名人になるのは難しい。私にはなれないかもしれない。」というニュアンスの言葉をインタビューで答えていた。しかし,第77期順位戦B級1組を12戦12勝でA級復帰を決め,第78期順位戦を9戦9勝し名人挑戦権を獲得し,名人位を獲得した。

将棋はAIの登場により飛躍的に研究が進んでいった。その中で,連続や通算といった記録の更新は1つの目玉である。

五冠

羽生九段といえば,最年少五冠達成者,唯一の六冠達成者,唯一七冠達成者という記録を保持しています。

そのうちの最年少五冠達成者の記録まであと1勝としているのが藤井聡太竜王(竜王・王位・叡王・棋聖の四冠)。現在開催されている王将戦に登場し,渡辺明王将から見て0-3としている。早ければ2月12日には五冠を達成する可能性もあり非常に楽しみである。



記事の中でしようした画像は,YouTubeの囲碁将棋TV-朝日新聞社-で放送されていた動画のスクリーンショットと,

YouTubeの毎日新聞で放送された動画のスクリーンショットである。


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