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五冠の壁

令和2年2月12日(土)5時35分頃
第71期王将戦第4局が終わり,藤井聡太竜王が王将のタイトルを奪取した。
これにより,藤井聡太竜王は,竜王・王位・叡王・王将・棋聖という5つのタイトルホルダーとなった。

五冠は達成者が出るたびに最年少記録を更新し続けているが今回藤井聡太竜王も19歳6ヶ月での達成と最年少記録を更新した。

タイトル五冠

現在,将棋には8つのタイトルがある。そのうち5つのタイトルを獲得したタイトルホルダーを五冠という。

藤井聡太竜王は最年少での五冠を達成した。

そもそも,将棋のタイトルを獲得することは非常に難しい。各タイトル毎に決められた様々な挑戦者を決定するための方式があり,トーナメントで勝ち抜いたり,リーグ戦で好成績を収めなかればならない。

事実それを表すのが,現在までのタイトル獲得者数である。日本将棋連盟には棋士番号330番までの将棋の棋士が今までに居た。しかし,タイトルを1回でも獲得したことのある棋士は45名しかいない。およそ14%である。

藤井聡太は1つ獲得するだけでも難しいのに,それを5つも同時にタイトルホルダーとなったのだ。これは前例が3例しかない。
大山康晴十五世名人,中原誠十六世名人,羽生善治九段の3人だ。

歴代達成者

最初に五冠を達成した大山康晴十五世名人は,当時5つしかないタイトルを全て獲得する五冠独占を果たし,さらに五冠独占を何回も継続させた。39歳10ヶ月での五冠達成である。

次に五冠を達成したのは中原誠十六世名人である。30歳5ヶ月での五冠達成で大きく記録を塗り替えた。当時はタイトルが6つあり,神武以来の天才加藤一二三棋王(当時)に敗れ,初の六冠達成,六冠独占とはいかなかった。

3人目の五冠達成者は,羽生善治九段だ。22歳10ヶ月での五冠達成である。翌年には谷川浩二王将(当時)に敗れ七冠独占とはならなかったが六冠を果たし,翌々年には七冠独占を果たした。

大山康晴十五世名人,中原誠十六世名人,羽生善治九段といえば将棋界でもベスト3に入る経歴の持ち主である。

タイトルの獲得回数は,羽生善治九段の99回,大山康晴十五世名人の80回,中原誠十六世名人の64回とTOP3を独占している。(BEST4は渡辺明名人の29回。)

大山康晴十五世名人は,十五世名人,永世十段,永世王位,永世王将,
永世棋聖の永世五冠を達成している。
中原誠十六世名人は,十六世名人,永世十段,永世王位,名誉王座,
永世棋聖の永世五冠を達成している。
羽生善治九段は,永世竜王,十九世名人,永世王位,名誉王座,永世棋王,永世王将,永世棋聖の永世七冠を達成している。

永世称号は,それぞれのタイトルを複数回獲得して初めて獲得することができ,上記3人の他には7人の棋士だけが称号を獲得しており,複数のタイトルに渡って永世称号を獲得しているのは渡辺明名人の永世竜王と永世棋王だけである。

それほどまでに抜群の成績,戦績を収める3人の棋士と同じステージに最年少で立った藤井聡太竜王の今後の成績について期待が高まっていく。

残りのタイトル

藤井聡太竜王が獲得していないタイトルは,名人,王座,棋王の3つとなった。

名人に関しては,将棋界の一番長い日として知られている3月3日にB級1組からA級へ昇格するかが決定する。
王座に関しては,タイトルを所持しているため,挑戦者決定トーナメントまでのシードを獲得している。
棋王に関しては,タイトルを所持しているため,挑戦者決定トーナメントまでのシードを獲得している。

名人戦は,リーグ戦での成績上位者。王座戦はトーナメント方式。棋王戦はベスト4以上はダブルイリミネーション方式という2敗するまで勝ち進むことができるトーナメント方式。とそれぞれ挑戦者を決定するまでのプロセスが若干異なってくる。

また,それぞれ持ち時間という自分の手を考える時間もそれぞれ変わってきており,序盤・中盤の研究,終盤の詰める力の試され方がそれぞれ異なってくる。

藤井聡太竜王がどこまで快進撃を進めていくのか。
「事実は小説より奇なり」ありえないといわれていたことを次々と達成していく藤井竜王に今後も注目である。

王将恒例の勝利の記念撮影

記事の中でしようした画像は,YouTubeの毎日新聞で放送されていた動画のスクリーンショットである。



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