学於note~壬寅~
ごきげんよう。教員Hです。
年明け最初の学於noteです。
正則学園のnoteには勉強になる記事がたくさんあがっていますが、その国語編です。書道科の教員Hが書道に関する「漢文」を中心に書いています。
今回は、先日の書き初めの記事にも書いたので、まずは干支の話から始めたいと思います。これは国語総合(高校1年生)の教科書でも扱われる内容なんです。
干支って
2022年は十二支の寅年ですね。動物には「虎」があてられて、虎の絵やモチーフをあちらこちらで見かけます。
はい、そんなこと一般常識ですね。
ではみなさん、改めて聞きますが、今年の干支はなんですか?
(……ん?)ってなる方が多いんじゃないかと思います。
干支(えと・かんし)、イコール十二支だと思ってしまいますが、「支」の部分しか言ってないんですよね。
みなさん、十干十二支(じゅっかんじゅうにし)って聞いたことありますか?
十干とは「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」のこと。
十二支は「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」のこと。
干支とは、この十干十二支の組み合わせで表します。10と12の最小公倍数の60通りあり、これを使って年月(暦)などを表します。
この方法は3000年以上前の中国・殷時代から使われていて、甲骨文字にもその例を見ることができます。
60通りを使って年を表すということは、60年に一回その干支が巡って来るということです。なので、暦がぐるっと回って元に戻って来ることを「還暦」といいます。「あ、聞いたことある」って人いますよね。
甲子(きのえね・コウシ)の年にできたから甲子園、戊辰(つちのえたつ・ボシン)の年に起きた戦争だから戊辰戦争、辛亥(かのとい・シンガイ)の年に起きた革命だから辛亥革命、などなど、実はいろんなところに干支は使われているんです。
さて改めて、2022年今年の干支は何でしょう。
今年は壬寅(みずのえとら・ジンイン)の年です。
干支の組み合わせとしては39番目、ちなみに去年2021年は辛丑(かのとうし・シンチュウ)でした。
ちなみに、教員Hの生まれた年は己巳(つちのとみ・キシ)、あ、歳がバレますね(笑)
でも、調べるとすぐ出てきますので、自分の生まれ年の干支がなんなのか、ぜひ調べてみてくださいね。
さらにおまけで、前回の壬寅である1962年(昭和37年)はどんな年だったのかを調べてみると、大正製薬が「リポビタンD」を発売、水道橋に後楽園ホールがオープン、ジャニーズ事務所が創業、キューピー3分クッキング放送開始、マリリン・モンロー死去などなど、いろんな話が出てきました。ぜひウィキペディアの1962年のページを見てみてください。(丸投げ笑)
すごい年「壬寅」
さっきから、「みずのえ」と言ったり、「かのと」やら「きのえ」と漢字を読んでますが、これは陰陽五行からくるものです。
陰陽五行の話を始めたらそれはもう長くなるので、超ざっくりと簡単に言えば、古代中国からある自然哲学の思想です。
どんなものにも陰(マイナス)と陽(+)があるというのが陰陽説、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるというのが五行説、それが合わさって陰陽五行説です。
これが十干十二支にもあてはまっています。
十二支にも五行がありますが、不規則で表にできなかったので寅だけいうと「木」です。
さて、これをふまえて今年の壬寅(みずのえとら)を改めて見てみましょう。
壬(みずのえ)は「水の陽」、寅は「木の陽」、その組み合わせなんですね。
そして五行説でいうところの「水」と「木」の関係性は、「水生木(すいしょうもく)」という、順送りに相手を生み出して行く相生、つまり陽の関係!
陽、陽、陽!と、プラスばっかりの組み合わせなんですね。すごいぞ今年!!
そんなすごい縁起のよさそうな壬寅の年。
1月3日にテレビを見ていたらすごい話をしてました。
あの徳川家康も壬寅の年生まれなんですって!
徳川家康を祀る上野東照宮を取り上げた回で、博士ちゃんが言ってました。天文11年(1542年)12月26日は壬寅年にあたり、寅の刻(午前4時)に生まれたそうな。480年(60年×8回)前です。
さらに今年2022年は、占いなどで使われる九星のなかでは五黄土星にあたるそうです。この星の生まれの人は運気が強いとされ、寅(虎)という干支だけを見ても「強い情熱で自ら突き進む」干支とされているそうです。そんな非常に強い気が流れる、五黄土星と寅年が重なる「五黄の寅」という年は36年に一度というレアな年。
壬寅は「陽×3」だし、「五黄の寅」だし、2022年はどれだけイケイケゴーゴー!な年なんでしょう(笑)
まぁ、占いですからね。信じるか信じないかは、あなたs(ry
虎にまつわる言葉
年末年始からあちらこちらで見かけることが増えた「虎」という漢字を含む言葉やそれを書いた筆文字、みなさんは何を思い浮かべますか?
教員Hが最近よく見かけるなぁと思うのは「虎嘯風生」
「こしょうふうしょう」と音読みし、「とらうそぶけばかぜしょうず」と訓読みします。
学於noteなので漢文っぽく分析すれば、「主語+動詞、主語+動詞」の形になっています。
「嘯く」とは吠えるという意味で、「虎が吠えると風が巻き起こる」と訳します。
意味は、「優れた才能や技能を持つ人が、機会を得て活躍すること」、ちょっと訳とかけ離れている気がしちゃいますが、そういう意味の言葉なんです(笑)
「虎」と「風」は古来切っても切れない関係にあって、これも確か五行の話とリンクしているんですよね。これはまた別の機会の話にしようかな。
また、「虎嘯」と見ると高校2年生の現代文の教科書に掲載されている中島敦『山月記』を思い出しますね。
李徴の詩の最後の「長嘯を成さずして但だ嘷を成すのみ」(詩を吟ずることもできず、短く吠えるばかりだ)が、もう何とも言えない切なさですよね。
これも話長くなるので、別の機会かなぁ。
さて、話したい事は尽きませんがまとめましょう(笑)
今年は虎嘯風生のように、正則学園の生徒も追い風受けてガンガン活躍してもらいたいですね。
昨年同様いろんなイベントをできる限りたくさん打ち出して、一人一人が楽しく学園生活を送れるよう後押ししていきますよ!!