限定合
1月21日(土),22日(日)に王将戦第2局が大阪の旅館で行われた。
第1局は先手番だった藤井王将が勝利した対局であったが,AIによる形成判断では,初日の封じ手段階ではどちらに有利ということもなく非常に面白い対局だった。
第2局は先手と後手が入れ替わり羽生九段の先手番で始まり,有利な先手番でも勝てなければ藤井王将の防衛が濃厚であろう。そんな1局になる。
実際には初日から先手番の羽生九段が盤面上の有利と持ち時間の有利を築いた。
初日目に難しい局面で長く考慮時間を使った藤井王将。
2日目は藤井王将にとって難しい決断を短時間でしなければならなくなってしまった。
攻めるしかない藤井王将
棋譜は著作権があり,局面に関しても同様なので,こちらのサイトで王将戦第2局を是非とも見てほしい。
82手目,藤井王将はついに決断をした。
ここから自玉を守っても相手に詰まされてしまう。
それならば,攻めて攻めて攻めて羽生九段が間違うことだけを期待しようそんな一手である。
88手目。このあとの玉の逃げ方を間違えると羽生九段の玉は有利な局面から一転すぐに詰まされてしまう。これをとん死という。
しっかりと相手の駒を見て適切な逃げ方をしなかったら僕が勝ちますよ。そんな一手である。
しかし,羽生九段。序盤に稼いだ持ち時間の有利をここで発揮。
しっかりと読み切り最善の方へ玉を逃がしていく。
10連続王手からの限定合
迎えた100手目。藤井王将の10連続王手である。
平凡な王手に見えた100手目。しかし,藤井王将はここに罠を仕掛けていた。
羽生九段の持ち駒は角角金銀銀桂香。実はこの中で合駒していい駒は1種類しかない。ここで残りの4種類駒だとその駒を取らて活用され,羽生玉は詰まされてしまう。そんな局面なのである!
羽生九段はしっかりと読み切り,101手目を指した。(駒的には打った。)
藤井王将はその駒の種類を見て投了となり,王将戦七番勝負は1-1になった。
藤井王将は羽生玉のとん死筋をしっかりと考慮にいれ,最後の最後が限定合になることも考え82手目の攻勢に出たのかは分からない。
しかし,藤井王将の脳内コンピュータならそれを弾き出していても不思議ではない。
そして,52歳になった無冠の羽生九段だが,恐ろしいまでの正確な指し回しを見せている。
残りの七番勝負は最低でも3局長いと5局もある。
第3局は今週末金沢で行われる。是非とも注目をしてほしい対局だ。