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ド文系教員が理系なオモチャでアソんでみたら、面白くなってきたので書く話(2020.10.22追記)

こんにちは、正則学園高校の世界史担当教員です。

いきなり個人的な話なんですが、私は幼い頃から数学(算数)が本当に苦手でして。理系全般に興味が持てなかったんです。

でも、後になって思うと、本当にもったいなかったな、って思うんです。

というのも、こんなドが付く文系の私ですが、大学院時代には、なぜか科学史・数学史のゼミに所属していたんですね。

そこでは、目で見て、手で触れて楽しめる数学や科学の展示会なんかもやっていたんですが、これが本当に面白かったんです。

ああ、見方や興味の持ち方の問題だったんだなって。

今でも数式とか出てくると、「あー、全くわかんねー」ってなるんですが、こういう風に直感に刺さる提示なら、ものすごく興味が湧きます

それに、数学の定理や公式、科学理論そのものの説明がダメだったとしても、それらが考え出された当時の人は、一体何の必要があってそんなことを考えたのか、そのときどんな苦労があったのか、そしてそれがどのように世の中を変えていったのか、といった話であれば、むしろ突き詰めたくなります

今回は、ある意味でそんなようなお話を書き綴っていきたいと思います。


学びを遊ぶということ

本学園には、なぜかいろいろなところに「オモチャ」があります。
えー!?学校にオモチャ??それも高校に???

って、思うでしょう?

いやいや、オモチャって、案外バカにできないですよ。
オモチャを通して学べることって、実はたくさんあります。

というか、これは私自身が最近よく思うことなのですが、

「お勉強」と「学び」って、似ているようで違いますよね?

むしろ、アソビの中にこそ、マナビの本質がある

ってなふうに思うんですが、いかがでしょう。
つまりは、面白い教材(たとえばオモチャ)だったり、面白い体験だったりを通して、楽しく遊んでる感覚だったのに、終わってみたら、いつの間にかさっきよりもちょっと賢くなってる。知識が増えている

そんなことが学校で起こったら最高だよなー、なんてことを思うんですね。


探究心をくすぐるオモチャ

そんなわけで、今日は学校に置いてあるオモチャの一部をご紹介したいと思います。

皆さん、コレ ↓ ご存知ですかね??

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懐かしいなー!

って、思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
そう、これは「水飲み鳥」、またの名を「ドリンキングバード」といいます。その名の通り、オモチャなのに水を飲むんですね。

昭和40年代ぐらいに大ヒットしたんだそうで、一説によると、当時はどこの家庭にも当たり前のようにあったんだとか!?(その頃私は生まれていません・・・)

使い方ですが、まず、彼(彼女?)のクチバシが届くぐらいの高さのお水を用意します。

そして、彼(もうここでは暫定的に彼としておきましょう)の頭部をしっかりと濡らして、ビショビショにしておきます。
(彼の頭部はフェルトで覆われているので、毛細管現象で水をグングン吸収します)

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すると・・・

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このとき、彼の胴体(ガラス管)の部分に注目!
青い液体の水位が上がってきているのが確認できますよね。

そしてだんだんと・・・

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頭部に溜まった青い液体の重みで、前に傾き始めています

そしてついに・・・

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飲みました!


ちなみに、最初の直立状態を模式図にすると、こんな感じ👇になってます。

模式図1

お尻部分のガラス管が、液体の中にまで伸びているのがわかりますかね?

水位が上がって、傾き始めると、こう👇かな。

模式図2

そして飲むと、こう👇ですかね。

模式図3

これだけの角度が付くと、お尻部分の液体がガラス管の口を塞がなくなるので、そこに溜まっていた空気(厳密にいうと空気ではないんですが、まぁ気体ですね)がガラス管に入り込み、その気体によって頭部に溜まっていた液体がガラス管に押し戻されるので、結果的に頭が軽くなります

すると、元の直立姿勢に戻るんですが、水を飲んだことによってまた頭部が濡れたので、また飲もうと揺れ始める。これを延々と繰り返すわけですね。


水飲み鳥のナゾを追え!

それにしても、なぜ頭部を濡らすと傾き始めるのでしょうか

というよりも、なぜ頭部を濡らすと青い液体の水位が上がるのでしょうか

どうも、この青い液体に秘密がありそうですね!

この青い液体の正体は、着色したジクロロメタン(別名:塩化メチレン)という化学物質です。

このジクロロメタン、非常に揮発性が高いのが特徴です。つまり、とても蒸発しやすいということですね。

液体が蒸発するということは、液体から気体へと状態が変化(気化)するということです。

そして水飲み鳥さんの中身ですが、先程「空気ではない」といいました。彼の体内には、空気は入っていないのだそうです。だんだんとわかってきたのではないでしょうか。

そうなんです。彼の体内には、液体状のジクロロメタンと、蒸発して気体になったジクロロメタンしか入っていないんですね。

そして、密閉された空間内で、液体と気体は、増えた方が増えてない方をギュウギュウと押します

つまり、彼のお尻の部分で液体が蒸発し、気体が増えてくると、その気体に押された液体は、ガラス管を逆上するしかなくなってしまうんですね。
(気体の方が液体よりも体積が大きいのね)

模式図4

なるほどぉ〜、それで頭に液体が集まって、重くなるから傾いて、水を飲んじゃうのか。よし!わかったぞ!

いやいや。


まだナゾは残されていますよね?


いくら揮発性の高いジクロロメタンといえど、無条件に気化するわけではありません。何らかの条件を満たして、はじめて気化するわけですよね。
いったい何があって、あの青い液体は気化しているのでしょう???


あ!

そういえば、彼の頭部を濡らした理由については、まだ触れていませんでした💦💦💦

てことは、頭を濡らすと、お尻のジクロロメタンが気化するのかな? でも・・・なんで?????

はい、そう思いますよね。
それではいよいよ、水飲み鳥さんの真骨頂、頭を濡らす意味について探究していきたいとおも…

え、もうだいぶ書いてる?今回はここまでなんですか?

はい、ということですので、気になる真骨頂はまた次回

またこの note で一緒にアソビましょー!

Au revoir(またねー)♪


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