とある教師の独り狂言~共通テスト(英語・リーディング)解いてみた・所感他~(2021年度バージョン)
私は、正則学園高校に勤める一英語科教員である。名はmakki(マッキー)。
皆さんはいかがお過ごしだろうか。私は、コロナ禍の中でもひっそりと記事を書き続けている毎日である。
(いや、毎日ではないか)
さて、今回の独り狂言は、だいぶ間が開いてしまったが、「~共通テスト(英語・リーディング)解いてみた・所感他~(2021年度バージョン)」で行こうかと思う。
1月に実施されて問題が公開になった後、かなり早めに問題を解きにかかっていたのだが、なんだかんだで時間があまり取れず、この記事を書く直前に解き終わったところである。
(一気に解けなかったのであれだが、時間的には制限時間内に収まるように解いたつもりである。)
昨年度の記事も読み返しながら、改めてここで共通テストの話をしてみようと思う。
昨年度が第1回目、今回は2回目の実施ということで、恐らく今回の試験である程度の「方向性」は示されたのだと思う。
makki本人が今年度2年生の英語を担当していることもあり、来年度の予想も兼ねて名の知れた私立大学の今年度の「共通テスト利用入試」もちょっと覗いてみたが…。
学校によってまちまち、というのが素直な感想だった。
RLがそれぞれ100点・100点になっているところから、それを踏襲するようにそのままの点数配分になっているところもあれば、リーディングのウエイトが大きく占めるように換算して合否を決める大学もある。
来年度受験する読者は、ある程度広範囲にそこを調べてもいいのかもしれない。
さて、実際にmakkiが解いてみた感想を次に述べてみよう。
問題の傾向
前年度に実施された初めての共通テストの内容と、大幅な変化はなかったように思われる。
昨年度の記事で書かせてもらった特徴として、
○大きく「TOEIC寄り」になった
○「読むスピード」が要求されるようになった
というものがあったが、今年度もそれに似た形と言っていいであろう。
変な話、英検準2級くらいの読解選択肢に近いようなものもあった印象でもある。
他には、昨年度の試験は「イギリス」よりという印象だったが、今回は「アメリカ」のものもあったので、もしかすると昨年度の内容からクレームのようなものがあった可能性もある。
スペリングがイギリス読みのものがあれば、「階層」の概念がイギリス寄り(もちろんその知識がなくても解けるのだが、あった方がすんなり入った感じであった)でもあった。
日本の英語教育はどちらかというと「アメリカ寄り」(例えば「色」はcolorであってcolourとは教えないだろう)の印象だ。ワードで打ってもcolourはスペリングの注意アイコンが出るくらいである。
作問担当者にそういう人がいるのかもしれないが、まさか日本の英語教育の実態を知らないのでは、と疑ってしまいたくもなる。
大問ごとの感想
さらに今回は大問ごとにも見ると。
全体的に英文自体は読みやすく、解答するのにもそれほど困らなかった。
書いてある情報をきちんと吸収できていれば、間違えることはないだろう。
もっと具体的にいえば、本文中に登場する「場所」「数字」「項目」などに注目して、頭の中で整理しながら読むと解答しやすいように思える。
逆にいえば、「情報処理能力」が問われる試験だといってもいいだろう。「思考力」を問う問題はほとんどないように見える。まあ、英語の問題なので前者ができれば問題ないのだろうが。
個人的には第6問のAが若干遠回しな表現が多く、問題を解くときも消去法で解いた問題があった。ここは受験生にも難しかったかもしれない(あくまで個人の感想です)。
今年の共通テストで…
さて、今年度の試験に関しては、問題そのもの以外にも、痛ましい事件が起きたり、カンニング騒動が起きたりと、物議を醸したと言ってもいいであろう。
本来、試験は「能力を平等に測るもの」であり、「人生を狂わすもの」であってはいけないと思っている。
(もちろん試験範囲は存在するので、「運」要素がないかといえばそうとも限らないが。)
makki自身は一度試験に失敗しており(別で記事も書かせてもらったが)、変な言い方だが「試験で失敗したら人生が終わる」とは思っていない(もしそうなら今この記事を書いていないだろう…)。
一方で、教育学で大学院を修了した私としては、「学力」そのものにも疑問を投げかけてきた(学士論文も修士論文も学力論に関するものを書かせてもらっている)。
昨年末に英検協会が主催したオンラインセミナーにも参加させていただいたが、全国の他の先生方とエンカウンターでショートトークをさせてもらうこともでき、「学力とは何か」「英語を吸収させるにはどうしたらよいか」など、短い時間だったが議論させてもらって有意義な時間を過ごせたことも記憶に新しい。
英検協会の現会長さんのお言葉にも感銘を受けてきたところである。
英語ができるって?
こんな疑問がある。
英語ができるってすなわちどういうこと?
単語を知っていること?英文を速く読めること?外国人とスラスラ会話できること?
4技能とは言うけどどうやって測るの?
などなど。
確かに、検定は世の中に色々ある。英検、TOEIC、TOEFL、TEAP、はたまた国連英検などという珍しいものまで。CEFRという英語試験の結果を換算できる指標もあるが、その判定もなかなか難しいと思う。
よく、自分が英語の教師だと話すと、「どうやったら英語ができるようになりますか?」「上達しますか?」
などなど聞かれる。
正直、最も難しく、回答に困る質問である。
それでも、一応のmakkiとしての答えは、「その人その人が必要とするいわゆる『英語の力』は、それぞれ異なると思う」である。
従ってその質問を受けたときには必ず、
「どういうことをしたいのですか?」
と聞き返すようにしている。
実は、以前からこのmakkiなりの答えは持っていたのだが、先の会長さんのお話に似たようなエッセンスの話があり、驚いたことを覚えている。
先ほど書いた「英語ができるってすなわちどういうこと?」他の質問の答えの模索は、
行政(文科省など)も、現場も、絶対避けては通れないところだと思う。
来年度は、高校でもカリキュラムが大きく変わる。
科目名も、「コミュニケーション英語」から「英語コミュニケーション」へ。
科目名変更の私なりの解釈としては、
「コミュニケーションに必要な英語(語彙など)の涵養」から、「英語を使ったコミュンケーション能力の向上」と考えているのだが、共通テストが変わらず「ペーパーテスト」であるならば、ここに齟齬が生まれる可能性がある。
さあ、来年度から色々とどうなっていくのだろうか…。(遠い目)
試験そのものもそうだが、日本の英語教育界全体がいい意味での「英語“教育”」の「質の向上」につながれば、と思いながら、これからもできうる限り英語を生徒に教えるために現場に立ちたいと思っている。
最後に
うーむ、昨年度は結局リスニングはやらなかったが、今年度もやらなさそうな雰囲気だ…。
(生徒に練習問題は解かせてはいるが…。どこかでやらないとな。)
※私の得意分野にも少し足を突っ込んだ形になってしまったため長文になってしまったこと、お許しいただきたい。(きっと大学の雑誌とかのコラムになりそうな内容だよな、これ)