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学於note ~たまには書きます~

ごきげんよう。教員Hです。

正則学園のnoteには「へぇ~」となる記事がたくさんあがっていますが、学於noteはその国語編です。書道科の教員Hが書道に関係する「漢文」を中心に書いています。


教員Hは篆刻(てんこく)を専門にしているので、普段は石に向かって鉄筆(彫刻刀)を手にして作品制作をしていますが、

3学期の授業は仮名書、ここ最近は卒業証書や外部団体の表彰状の名入れのために、小さい字ばかり書いていたので、つい大きいものを書きたくなりました。

というのも2月末、大東文化大学書道学科と、東京学芸大学教育学部書道専攻の卒業展を観に行ったんですね。学生のパワー溢れる大作に刺激を受けました。その刺激が篆刻に向かず、なぜか「書きたい」に向かったので、学於noteの題材にしようと思っていたものを書きました(笑)

お目汚し失礼いたします。汗


願うところは平和

作品サイズは135×35センチ、いわゆる半切(はんせつ)サイズです。

書体は篆書(てんしょ)の中でも金文といわれる、中国の殷周時代の青銅器に鋳込まれている文字です。

もう下手すぎて笑っちゃいますね。普通は何百枚を何日もかけて練習してやっと出来上がるものを、2時間で15枚程度書いただけなので、今回はご容赦ください。

さて内容ですが、

帰馬于崋山之陽 放牛于桃林之野

と書いてあります。『書経』の武成篇にある言葉で、「帰馬放牛」という四字熟語の元となった言葉です。

「于」という文字は、「於」と同じ意味で使う文字です。ここでは「~に」と読みます。「~」に入るのは場所です。

つまり、「馬を帰す」のはどこに?となるんですね。「于」の下を見ると、「崋山之陽(かざんのよう)」とあります。

「崋山」とは山の名前。その「陽」に、ってことですね。

「陽」とは、日の当たるところ、つまり「南側」です。

繋げると、

馬を崋山の南側に帰す

となります。

同じように、「牛」をどこに「放す」のかを見ると、「桃林之野(とうりんのや)」です。

この「桃林」も地名なので、そのまま「桃林の野原」と訳せます。

牛を桃林の野に放つ

割と簡単な文の構成でしたね。

さて、この文のいうところの意味ですが、

戦争が終わって平和になること。また、再び戦争をしないこと。

です。

昔は戦争で馬に乗ったり、馬や牛に車を引かせたりしていました。その戦争で使った馬と牛を自然に解放することで、戦争が終わったこと、さらに今後再び戦争をしないことを示したという当時の王の故事が、この言葉の出典です。

この言葉を書の作品にする人も多く、みんな願うところは平和です。

戦争なんて馬鹿げたことは、もうしちゃならんのです。

ニュースでは物騒な話が続いていますが、早く落ち着いてほしいものです。


それではまた次回、ごきげんよ~う。

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