羽生善治 52歳の挑戦
羽生善治九段が王将リーグ全勝で王将への挑戦権を獲得した。
将棋には現在8つのタイトルがある。
8つのタイトルそれぞれで対局の時間も日付も異っていれば,タイトルへの挑戦権の獲得の方法も異なる。
王将への挑戦
王将戦は,7人によるリーグ戦の形式で挑戦者が決定する。
この7人は,昨年度の王将リーグ戦で成績の良かった4人と予選を勝ち抜いた3人で行われることになっている。
リーグ戦で成績を残せる棋士は多くない。だからこそ残留した4人にさらに予選を勝ち抜いた3人を合わせたときに,タイトルホルダーやタイトル経験者が多くなるのは当然のことである。
今年の王将リーグ戦は,渡辺明名人・棋王,永瀬拓矢王座の現在のタイトルホルダーに加え,羽生九段というタイトル経験者が3人もいる残留組に加え,豊島九段と糸谷八段というタイトル経験者が2人も加わった壮絶な争いになった。
豊島九段と糸谷八段は共に昨年度の王将リーグに在籍したが,成績が振るわず予選にまわった猛者である。
豊島九段は現在まで4人しか達成していない名人と竜王のタイトルを同時に保持したことがある人物であり,糸谷八段は竜王のタイトルを獲得したことがある。
そんな王将リーグ戦,羽生九段は快進撃を続け7連勝!
負ければプレーオフになる最終戦の豊島九段との対局を見事勝利し,9年ぶりの王将リーグ全勝者が挑戦権を得ることになった。
王将リーグの記録
王将戦を決めるリーグ戦では,これまでの様々な記録が生まれている。
例えば,中原誠永世十六世名人は,リーグ戦残留21期という記録を持っている。
今回,羽生九段はある記録を打ち立てた。
それは,最高年齢による王将リーグ全勝記録だ。
現在52歳の羽生九段が全勝で王将リーグを突破し,王将への挑戦権を獲得した,そんな記録である。
では,いつの誰の記録を打ち破ったのか。
これは,ちょうど9年前,前回の王将リーグ全勝者が持っていた記録である。
第64期王将リーグで全勝優勝したのは,そう
43歳の羽生九段だ
自分で作った記録をまた自分で塗り替えたのである。
羽生九段は,自身の持つタイトル獲得99期を伸ばし,ついに3桁の大台に到達できるのか。
藤井竜王・王位・叡王・王将・棋聖のタイトル戦勝率100%(2022年11月25日現在)を打ち破り,ついに土をつけることが出来るのか。
それとも,藤井王将が研究の成果を見せつけ,タイトルを防衛するのか。
王将戦は1月8日(日)に掛川城にて対局の火蓋が切って落とされる。