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前人未踏の八冠独占への挑戦始まる

藤井聡太竜王・名人が保持してない最後のタイトル王座への挑戦が今日9時に始まった。

第71期王座戦

第71期王座戦は永瀬拓矢王座に藤井聡太竜王・名人が挑戦する。
この二人の対局は永瀬5勝,藤井11勝,2千日手であり,タイトル戦での対決は第93回棋聖戦の1回のみ,このときは藤井聡太棋聖が3勝1敗で防衛している。

永瀬拓矢王座が勝った5勝のうち,3勝が先手番,2勝が後手番。
藤井聡太竜王・名人が勝った11勝のうち,5勝が先手番,6勝が後手番である。

振り駒の重要性

将棋は先手が若干有利と言われている。
2015年度の総対局数は2992局,そのうち先手番の勝率は51.9%。
2016年度の総対局数は3124局,そのうち先手番の勝率は51.9%。
2017年度の総対局数は3092局,そのうち先手番の勝率は52.5%。
2018年度の総対局数は3277局,そのうち先手番の勝率は53.0%。
2019年度の総対局数は3517局,そのうち先手番の勝率は52.7%。

データで公表されている2019年度までを見ても若干の有利が先手番にはあるかのように見える。

また,最近の将棋AIの大会では,先手の勝率が7割近いというデータも出ている。

タイトル戦は必ず奇数回の番勝負であり,最後の1回以外は先手番と後手番を入れ替えて対局をする。なので,公平性が保たれている。
しかし,心理的には公平だろうか。

対局前に行われる振り駒にも注目であった。

タイトル独占

将棋のタイトルは名人,竜王,王位,叡王,王座,棋王,王将,棋聖の全八個のタイトルがある。
一番新しい叡王がタイトルとなってからタイトル全てを獲得する独占した棋士はいない。

しかし,これまでの将棋の歴史上では,3名の棋士が当時のタイトル全てを獲得する独占をしてきた。升田幸三実力制四代名人,大山康晴永世十五世名人,羽生善治九段の3名だ。

最初にタイトルを独占したのは,升田幸三実力制四代名人だ。
升田幸三実力制四代名人は,第16期名人戦にて名人のタイトルを初めて獲得し,その当時のタイトルである名人,王将,九段(後に十段,その後に竜王)の全てを冠する棋士となった。
その後第7期王将戦で王将を失冠するまでの261日の独占であった。

次にタイトルを独占したの,将棋界の数々の記録を保持する大山康晴永世十五世名人である。
大山康晴永世十五世名人は,タイトルが名人,王将,九段の三冠独占。
タイトルが名人,王位,王将,九段の四冠独占。
名人,王位,王将,棋聖,十段の五冠独占を行っている。
三冠独占中に王位戦がタイトル戦に昇格されたが,第1期王位戦にて王位を獲得したの大山康晴永世十五世名人である程の実力を持った人物である。
三冠独占を466日,四冠独占を865日,五冠独占を4回に分けて計1280日,一番長い五冠独占は892日。

最後にタイトルを独占したのは,羽生善治九段である。
第44期王将戦に,竜王,名人,棋聖,王位,王座,棋王の六冠を保持した状態で挑戦者として臨み,谷川浩二王将に敗北してから1年。
六冠を全て防衛し,第45期王将戦に臨んだ。
結果4勝0敗のストレートで谷川浩二王将を下し,
1996年2月14日に竜王,名人,棋聖,王位,王座,棋王,王将の七冠を独占した。
その後,当時は1年に2回行われた棋聖戦の後期で棋聖を失冠し七冠独占は167日に終わった。

藤井聡太竜王・名人からすれば羽生善治九段の達成以来27年ぶりの将棋タイトル独占をかけて始まった第71期王座戦。
負けられない対局になる。

名誉王座

王座戦では,連続5期の王座獲得か通算10期の王座獲得による永世称号名誉王座が制定されている。

これまで,名誉王座を名乗ったのは中原誠永世十六世名人だけである。
また,名乗る資格を保持しているのは羽生善治九段だけである。

現在,永瀬拓矢王座は王座を連続4期獲得しており,第71期王座戦を防衛することができれば,名誉王座の永世称号の資格を保有することになる。
将棋界ではタイトルを1つ獲得するだけでも相当な実力の持ち主であるが,そのタイトルを複数回連続または通算で獲得しなければならない永世称号はとびぬけた実力の持ち主である。

永瀬拓矢王座からすれば羽生善治九段以来17年ぶりの名誉王座の永世称号資格をかけて始まった第71期王座戦。
負けられない対局になる。