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ほろ苦い決断

Tennis has treated me more generously than I ever would have dreamt, and now I must recognize when it is time to end my competitive career.
The Laver Cup next week in Lomdon will be my final ATP event.

昨日,衝撃的なニュースが飛び込んできた。ロジャー・フェデラーがSNS上で引退を表明した。

ロジャー・フェデラーはテニスにあまり詳しくない人でも知っているほどテニス界を代表する選手の一人だ。そんなフェデラーは24年間のべ1526の試合を戦い抜いてきた歴戦の英雄である。

フェデラーは,私が最も尊敬し憧れを抱くテニス選手である。今日はフェデラーについて綴っていくとする。

芝の王者

ロジャー・フェデラーは,歴代最高ともいわれるフォアハンドと非常に読まれにくいサーブからエースを連発する選手であった。

それを裏付けるように,歴代3位のグランドスラム20勝,歴代2位となるシングルス103勝,世界ランキング1位連続在位記録237週ととてつもない記録を持っている。

テニスのトーナメントとして最大規模かつ最大の権威を示す4つの大会グランドスラム。グランドスラムでのフェデラーの成績はというと

2003年のウィンブルドン優勝を皮切りに1時代を築き上げ,その後もトッププロとしての成績を残しているのがよくわかる。

特に2006年と2007年はグランドスラムで3勝をあげ,最後の1つ全仏も準優勝と年間グランドスラムにあと一歩のところまで迫っていた。しかし,ライバルであるラファエル・ナダルが年間グランドスラムを許さなかった。
ナダルは2006年と2007年の二回ともにフェデラーを破り全仏王者に輝いた。

その後,2008年8月18日ナダルに世界ランキング1位の座を譲り渡すことになったが,2009年7月6日に再び世界ランキング1位に返り咲く。その時期になってくると,ノバク・ジョコビッチそしてアンディ・マレーが頭角を現し4人でテニス界を牽引していくことになっていった。

テニスは4時間を超える試合もあり,肘や膝,手首,腰と全身に非常に負担のかかるスポーツである。BIG4(ロジャー・フェデラー,ラファエル・ナダル,ノバク・ジョコビッチ,アンディ・マレーの4人)の次の時代と言われたが,故障から引退や長期離脱を余儀なくされる選手がいる中で,フェデラーは故障とは無縁のツアー生活を送り続けていた。

しかし,2016年の4月に膝を故障すると,手術を行いそこから懸命なリハビリを行った。これにより,世界ランキングTOP10陥落となった。しかし,フェデラーは諦めていなかった。この年同じく故障したナダル共に復活を誓い合った。

誓いはすぐに叶うことになった。2017年最初のグランドスラム全豪オープン。怪我あけのフェデラーは4回戦で錦織圭を破り勢いをつけると,準々決勝でミーシャ・ズベレフ,準決勝で同郷のグランドスラム3勝をあげているスタン・ワウリンカを破り,決勝でラファエル・ナダルと戦うことになった。2017年の全豪オープン決勝はリアルタイムで見ていたが,最後までどちらが勝つか分からない本当に白熱した戦いが続き,フェデラー,ナダル共に怪我のブランクを感じさせない素晴らしい試合内容であった。そんな怪我あけ復帰戦でフェデラーはナダルを破り全豪オープン優勝するとウィンブルドンでも優勝し,翌年の2018年には2012年11月4日以来1933日ぶりの世界ランキング1位に返り咲いた。テニスは30代前半が限界と思っていたが,37歳での世界ランキング1位に震えたのを今でも覚えている。

しかし,膝の怪我や新型コロナウイルスがあり,満足にテニスが出来ずにいた。

そんな中,今年のウィンブルドン100周年セレモニーに登場した。

他のチャンピオンたちと一緒にここにいるのは素晴らしいことだ。このコートは、私に大きな勝利と大きな敗北を与えてくれた場所。もう1度、ここに戻ってくることができたらと思っている。この場所が恋しいよ。昨年はここを歩いていて、その先がタフな1年になることは分かっていたけど、復帰にこんなに時間がかかるとは思っていなかった。テニスに関係なく、いい1年を過ごせてはいるし、家で幸せに過ごせている。今回、ここに来るべきか迷ったけど、今ここに立っていることが幸せだなと感じている。

フェデラーはこう語った。やはり自分が初めて優勝したグランドスラムであり,無類の強さを誇ったウィンブルドンへの想いが溢れている。

しかし,ウィンブルドンに戻ってきたいと語ってから2ヵ月。戻ってくることはできなかった。

こうして綴っていく中で,過去の記事を検索したり,今もなおフェデラーへ送られ続ける引退発表へのメッセージを見るたびに本当に引退するんだなと実感が伴ってくる。

フェデラーを応援し続け,憧れた1ファンとして言わせて頂きたい。
「24年間お疲れ様でした。」

最後に,フェデラーのテニス人生で最大のライバルで最高の親友だったナダルからのメッセージで終わりたいと思う。


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