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とある教師の独り言~過去形に思う、“はなれた”思い~


私は、正則学園高校に勤める一教員である。
指導教科は、英語

今回は、「とある教師の独り言」パート3。
パート1パート2

タイトルは「~過去形に思う、“はなれた”思い~」である。

教師生活10数年。英語は「難しい」「わからない」「つまらない」、しまいには「習う必要なんかあるのか」なんていう声も聞こえてくる。本当に辛いところである。

なんとかわかりやすく覚えてもらう方法はないものか。
考え続けてきた。
たいしたものではないのだが、今回も目を通していただければ幸いである。

1.過去形は過去じゃないことを表すときがある?

今回は「過去形」であるが、よく聞く悩みとして、
「過去形は『過去じゃないことを表すこともある』が、どうしてか」
というものがある。

たいていの人は「そういうものだから覚えなさい。日本語でもなぜ最初が『あいうえお』というか聞く人はいないでしょ。そういうものなんだよ。」と言って強引に覚えさせるケースが多い。

本当にそうだろうか

昔、私自身もこの疑問にぶち当たって、当時英会話を習っていたネイティブスピーカーにも聞いてみた。
彼はイギリスのケンブリッジ出身だったが、彼も ” I don’t know why.”「わからないなぁ」 と言って終わってしまっていた。

…しかし。
そこで終わらないのがこの私である。

どうにか「過去形を使う時のネイティブスピーカーの“思い”がどういうものなのか」を、使われている例文や表現を見ながら考えてみた。

その話をその人にしたところ、「そうとも考えられるね」と言ってもらえたので、ここでその“思い”を書いてみようと思う。

まず、私は、「過去形」という言葉が嫌いである。
それはなぜか。

確かに、英語で過去形が使われるときはどんな時に使われるかというと、圧倒的に多いのは「過去の動作を表現するとき」である。これは間違いない。
(長井秀和さん、最近どうしているのでしょうかね)

しかし、他には、
①「丁寧表現(ex. Can you → Could you)」や、
②「推量などを表す助動詞の弱い推量(ex. may『~かもしれない』 → might『ひょっとすると~かもしれない』)」、
③「仮定法過去(は、『現在』のことに関する仮定を表す)」
といったように、「現在のこと」にも使うことは多い。

ここで、これらの表現に共通していることはないだろうか。考えてみた。

その結果、行きついた答えは…、


2.「過去形」とは?!

『今、ここ』から“はなれている”状況を説明するときに、過去形が使われる

である。この観点で先ほどの①~③を考えてみると…。

①「丁寧表現」は日本語の「へりくだる」と似たニュアンスで、話す相手との「心理的距離」が“はなれている”ときに使うイメージである。だから、この表現は「目上の人に使う」のではなく、「お願いする気持ちが強い」ときに使うのである。「Could you~?」という表現は、教員が生徒に使っても、夫婦間で使っても、全く問題ないのである。

②「弱い推量」も、気持ちが「断定」よりさらに気持ちが“はなれている”時に使われている。そう考えれば、「現在」のことであっても「過去形」が使われていてもうなずける。

③「仮定法」も、「現実」から“はなれている”空想世界の動作をイメージしているので、過去形が使われるのである。

つまり、

過去形は、「はなれてる形」ということができる。

こう考えれば、「過去」に使われる場合も、「現在」から時間軸的に“はなれている”と考えることができるのである。

どうして、今でも「過去形」というのだろうか。私にとっては、不思議でならない。
表現するのは、「過去」だけでないからである。

英語の文法用語も、昨今のいろいろな用語のリニューアルブームに乗って、変えてもいいのではないか、と思う昨今である。

今回取り上げたのは「はなれてるだが、私はこの形に気持ちを「寄せて」いきたいと思っている。