”彼女を大切にする”ってどういうこと?高校生が「ジェンダー」の視点から男と女を知る!
Saturday 31st October
みなさんは「ジェンダー」という言葉を聞いたことがありますか。
近年、耳にするようになってきたのではないでしょうか。
SDGsの目標(5.ジェンダー平等を実現しよう)にもありますね。
「性別」という意味を表す点でいえば、
"gender(ジェンダー)"と "sex(セックス)"は同じですよね。
どちらも、「男女」の線引きをしてるという点では同じです。
ただし、中身は別物です。
"gender"は「社会的な性」、"sex"は「生物学的な性」を表します。
つまりどういうことかというと、
【gender 名詞】
genderは名詞で「社会としての性別」という意味があります。社会には「男性らしさ」と「女性らしさ」が定まっており、礼儀作法として従います。
例えば、男性の日本語一人称は「ぼく・おれ・わたし」で、女性の日本語一人称は「あたし・うち」です。このように「生物としては定まっていないけれど、社会によって定まっている性別」をgender(ジェンダー)と呼び、sex(セックス)と区別して考えられています。
sexは人間以外の生物(犬や魚)にも用いますが、genderは人間だけに用います。
(引用元:https://tinyurl.com/y6ge54bg)
【sex 名詞】
sexは名詞で「生物としての性別」という意味があります。生物としての性別とは、医学によって、物理的に判定できる性別です。
わかりやすく言えば、ペニス(pennis)と睾丸(Testicle)が存在していれば男性で、ばヴァギナ(Vagina)が存在していれば女性と、判断します。
(引用元:https://tinyurl.com/y6ge54bg)
これが、「ジェンダー」という性と、「セックス」という性の違いです!(意外と知らない人は多いと思います。生徒なんか特にですよね。)
「トイレから考える男と女ー(未来の)彼女を守れますか?-」開講!
正則学園高等学校では、他の学校では味わえないようなことに積極的に取り組んでおります!
その中の1つに、「SG探究Academy」という特別授業があります!教科横断型に特化したものや、普段の授業ではなかなか扱えないような内容をメインに様々な授業を取り扱っております。
今回、「トイレから考える男と女ー(未来の)彼女を守れますか?-」という特別授業が開講されました!
「ジェンダー」って(一応、最初に定義は書かせていただきましたが...)
本当に、幅広いんですよね。正直、「ジェンダー」に関わる全ての内容を扱うとなると大変です。
さらにいえば、高校生で「ジェンダー」を取り扱うって正直、すごいことだと思うんですよね!ボクなんかが高校生の頃、ジェンダーなんてこれっぽっちも知りませんでした。笑
That's why(そういうわけで), 高校生でもここからアプローチすればいいのでは?ということで、1つの例としてまず、「トイレ」というものに着目してみました!
みなさん、「トイレ」といえば、「男女別」ですよね。最近では男女共用のトイレも1室であれば見るかと思います(カフェとか小さいお店なんか多いですよね)。
男性のみなさん、お手洗い利用中に女性が入ってきたら抵抗ありません?
女性のみなさん、逆に男性なんか入ってきたらもうこれは犯罪ですよね。
そもそも、今回「ジェンダー」の講義をするきっかけとなったのは、ある生徒の「なぜ、女性は男性トイレに入っても許されるのに、男性が女性トイレに入ると犯罪になるのか?」という素朴な疑問です。
「いや、そんなの当たり前だろ。」
そう思った方も多いはずです。でも言われてみれば、そんな疑問が生まれるのも不思議ではありません。
われわれ日本人は、上記の生徒の質問を、ある意味で「当然だ」「当たり前」だと思って生きてきているわけです。
これは紛れもなく「固定観念」であり、われわれがこの日本で生きてきて知らず知らずのうちにすりこまれたコトであるのです。
ここでちょっとアメリカの例を見てみましょう。
あるホテルでは、男女一緒の空間に個室トイレが並んでいるスタイルが珍しくなく、男女問わず平気でそのトイレを使っているのです。
日本みたいに共用だと1室とかではないんですよ。みなさんが男女別で想像するあの個室トイレがズラーっと並んでいて、そこに男女ともども平気で入ってきて用を足すわけです。
考えられますか?
また近年では、一部の州でトランスジェンダー(外見の男女判別とその人の内面の男女認識が異なること)の子どもたちへの配慮として、男女別のトイレをやめる学校も出てきているようです。
日本だと「多目的トイレ」がわかりやすいかもしれませんね。
その社会(国や地域の文化)がどうルールをつくるかで、トイレ1つとっても全然違うわけです。このような身近ですりこまれた概念こそ、ジェンダーの1つなのです。
生徒は、ジェンダーとは「常識」という名の思い込みである、ということを、トイレを例にして学びました。
という感じで!!
講義が進んでいきました!!(長くなりました...笑)
ここで、サブタイトル「(未来の)彼女を守れますか?」という内容に入っていくわけです。
ここから、内容がシビアになっていきます。
デートレイプ(Date Rape)という概念を知る
まず、このワードを聞いて、「え、高校生がそんな内容の講義を受けるの?」と思った人も多いかもしれません。ただし、ジェンダーを学ぶ1つのステップとして、この概念を知ることは重要だと思うのです。
ざっくり講義内容を話しますと、
① デートレイプの概念を知る。
↓
② 彼ら(生徒)にとってかなり身近な話であることがわかる。
↓
③ 「これなら大丈夫でしょ」と思ってきたことが、実はそうではないということ、および、その思い込みによって彼ら(生徒)自身がパートナー等にとっての加害者になってしまうこと。
また、ここから①~③の内容を簡潔に書いていきます。
① デートレイプとは。
恋人のような間柄や顔見知りの関係での無理強いされた性交渉をいう。肉体的暴力や言葉による脅し、アルコールなどで抵抗力を奪ったうえで性行為を強要するなどさまざまな形態があるが、いずれもはっきりした合意がないかぎりレイプである。(引用元:https://tinyurl.com/yxamp573)
つまり、「見知らぬ人が夜道等で女性に対して衝動的に行う犯罪」とはまた別の話であるということです。
② 彼ら(生徒)にとってかなり身近な話である。
これは生徒にとって、紛れもなく身近な話題であるということが、生徒の反応を見ていてもわかりました。そしてこのこの加害者になってしまう男性、特に大学生がとても多いみたいです。
そして、何よりも、なぜこれがジェンダーに関係があるかというと、
被害にあった女性の5割以上が、「誰にも相談できていない」という状況なのです。
「家族や友人に言い出せない。」「言えばあなたが悪いと責められるかもしれない。」
裁判沙汰にしても必ず勝てるわけでもなく、場合によっては、メディアによって誹謗中傷に合う恐れだってあるわけです。
つまり、これが何を意味するかというと、
世の中って全然男女平等ではないですよね、ってことです。
受講生徒はこのことを真摯に受け止めて、「たしかにそうだ...」という反応を示しておりました。
③ 「これなら大丈夫でしょ」の間違い
生徒も疑問に思っていました。
「女性からデートに誘われたから大丈夫」「女性が派手な格好をしてきたから平気」「本気でいやならもっと抵抗する」
いわゆる、加害者に都合のよい解釈をしてしまうということ。
これは個人の問題ではありません。社会や文化レベルでの話なのです。
だからこそ、我々が生きる世界に蔓延る固定観念、無意識のうちにすりこまれた概念を覆す難しさを、生徒は今回、学ぶことが出来ました。
まとめ
今回、受講してくれた生徒は、これらを真摯に捉え、どうするべきかということを都度、グループで話し合っていました。
冒頭にも書きましたが、「ジェンダー」を学ぶことは本当に大変です。幅広いからです。
でもその「ジェンダー」について、生徒の身近な場面からアプローチし、またそれを彼らが考え、彼らなりの答えを導き出してくれたことが、我々の予想以上の成果を得ていたのではないかと思いました!
また、男子校だからこそ、このようなテーマを取り扱えたことに意味があるのではないでしょうか。
このような機会を学校で設けられたことは、1つの財産になるのではないでしょうか。
正則学園としては今後も、ジェンダーに関して彼らが取り組みやすい、アプローチしやすい方法を模索し、少しでも”男女平等”に関して考える・学ぶ機会が与えられたら良いなと思っております!